2011年1月9日日曜日

HB-N2現像。


大阪芸術大学の里 博文氏が考案したHB-N2処方を元にした調剤で現像。

フェニドン1.0g、アスコルビン酸(ビタミンC)2.0g、無水亜硫酸ナトリウム4.0gを750mlの水に溶いて水を加えて1リットルにするのが里氏の正式な処方としてWebで見つけることができる。
が、1本を現像するために使い捨て現像液を1リットルも作っても仕方がないので、半分の量で調剤して500mlの水に溶解した。もっと厳密に計量するつもりなら300mlでも作れるのではないかと思う。
自家では0.1g対応の精密スケールで計量しているが、一般用の誤差の大きいキッチンスケール等ではこの分量での処方が難しい場合も考えられる。各薬剤とも小さじすり切り1杯でちょうど1リットル時の所定量になるとの記述もWebに見られたので試しに計量してみたところ若干の誤差がある。亜硫酸Naの量が増える程に軟調になるようだが、多少の誤差(特に多い方)はあまり問題ではないようだ。

フェニドンは水に溶けにくくビーカーの底に溜まるため調合済みの薬剤を30度の水に徐々に投入しながら攪拌して溶かし、水を溜めたバットにビーカーごと漬け込んで25度まで冷却した。処方通りでは20度で14分とのことだがこの季節では温度管理が面倒なので25度のままタンクへ入れて通常の攪拌で14分(排出時温度20度)、あとは通常の現像と同様に流水で停止浴1分半、フジフィックス定着浴10分、予備水洗1分、富士QW浴1分、本水洗5分程度の後、乾燥(今回はドライウェルは作るのが面倒で使わず)。

画は見ての通り階調性も粒状感も問題のない仕上がり。いつもの現像と比べるとやや軟調かと思うところもあるが、シャドウもキッチリ出ているのでその辺は焼き付けなりスキャンなりで調整が利くので問題はないと思う。

なによりも嬉しいのは、処方で使っている薬剤の危険性が低いこと。水で十分に薄めれば下水に流してもそう問題はないだろうし、有害なガスが発生する恐れもまずない。子供やペットがいても安心してビーカーを干しておけるのは有り難い。また停止浴に酢酸を使わなければ臭気があるのは定着液ぐらいで、これもこぼしさえしなければ、自家現像をしても家族に文句を言われる心配もないだろう。
横着をしてかかれば必要なものはHB-N2の溶液を作るためのビーカーぐらいで、定着液や富士QWは保存容器から直注ぎですら構わない。得体の知れないビーカーが並んで健康被害を心配されることもなく、洗い物が少なくなれば冬場の水遊びも楽になるというものだ。

なお同処方500mlの30度→26度で14分のやや高温度での現像も試してみた(昨日のGD-1の画)が、像が荒れるでもなく、増感の効果も特には見られなかった。夏場の水温で現像を強行する場合にも有効かもしれない。
また、処方通りであれば1段減感する場合は20度で12分とのことなので、この現像液は比較的穏やかな部類になるのだろう。10度で差がほとんど見られないことから、処理時間を増やしても増感が有効であるかは分からない。

自家現像。